【目次】
はじめに
ブリッジSEの役割
ブリッジSEが注意すべき3つの壁
➀距離の壁
➁言語の壁
➂意識の壁
おわりに
はじめに
エンジニアを確保しやすくコストも削減しやすいオフショア開発は、大規模なプロジェクトでも使われるようになってきた開発手法です。
ただ海外の人材を活用するので文化や言葉の違い、さらには仕事に対する考えの違いなどから、上手く開発が進まないケースも多々あります。
「現地のエンジニアとうまくコミュニケーションが取れない…」
「納期まで時間がないのに、スムーズに開発が進まない…」
このような事態にならないために、オフショア開発のプロジェクトには、日本と海外のコミュニケーションの架け橋となるブリッジSEの役割が欠かせません。
この記事では、ブリッジSEの役割やブリッジSEが注意すべきオフショア開発の問題点について解説していきます。
ブリッジSEの役割
ブリッジSEの役割は、委託主である日本企業と委託先であるオフショア開発企業の関係を橋渡しすることです。
日本企業側に対して行う業務としては、開発業務の進捗報告や現地エンジニアとのコミュニケーションをブリッジSEが間に入って円滑に進めることなどが挙げられます。
開発現地で行う業務としては、プロジェクトマネージャーのような業務が多いです。基本的にブリッジSEは開発チームのプロジェクトマネージャーを任せられることが多く、日本企業側の作成した仕様書を理解して、現地のエンジニアに指示を伝えたり、納期に向けてチームをマネジメントする役割を担当します。
このように、「ブリッジSEにオフショア開発プロジェクトの成否がかかっている」と言っても過言ではないほど、オフショア開発においてブリッジSEは重要な役割を担っています。
ただどうしても、国の違う人たちとオフショア開発のプロジェクトを進めるうえで、ブリッジSEに立ちはだかる問題点はいくつかでてきます。次の章では、ブリッジSEが注意すべき3つの壁について解説します。
ブリッジSEの役割や必要な能力について詳しく知りたい方はこちら
ブリッジSEが注意すべき3つの壁
海外の人材と同じ開発案件を進めるうえで、どうしても3つの壁ができてしまいがちです。それは距離・言葉・意識という3つの壁です。
距離の壁
オフショア開発でブリッジSEにとって壁となるのが、距離の遠さです。日本と海外をつなぐコミュニケーターであるブリッジSEは、国ごとに異なる時差を把握しておかなければなりません。時差がたった2時間あるだけでも、出社時間の違い、ランチタイムの違いなどから会議の時間は限られてしまいます。あらかじめ、委託先との時差を把握し、定期的に会議のスケジュールを決めておくようにしましょう。
また、祝日も国によって異なります。エンジニアの稼働時間などを計算する際は、祝日や宗教による礼拝時間なども含めて、余裕を持ったスケジュールを組んでおくようにしましょう。
言語の壁
オフショア開発では、仕様書などにしても日本語を外国語に翻訳します。つまり一度翻訳作業を挟むこととなり、翻訳した時点で誤解やニュアンスの違いを生んでしまいます。ただ翻訳するだけでは伝わりにくい部分もあるのです。そのような部分はラフ絵を使ったり実際のソースコードを見せたりするなどして、より視覚で分かるようにすると外国人も納得して理解してくれます。
意識の壁
海外のスタッフだと自国の仕事のやり方やスタンスを持っています。日本人としては、指示はこちらから出すものという意識の抜けない方が多く、どうしても外国人スタッフと対等になっていません。まずは日本人として意識を変えて、さらに外国人スタッフが基本設計や要件定義などで上流工程から参加できる体勢を整えるようにしましょう。業務に必要な事を説明するだけでなく、ビジネスモデルや価値なども説明し、外国人スタッフが求められている内容を自ら考え主体的に行動できるようにするのです。プロジェクトの根幹から理解してくれるので、何をすればいいか自分で考えられるようになり、その結果として指示されたことだけ行うという、受け身スタイルの作業を改善できます。
おわりに
ブリッジSEの役割や、ブリッジSEが注意すべき3つの壁について解説しましたがいかがでしたでしょうか。
- ブリッジSEの役割は、委託主である日本企業と委託先であるオフショア開発企業の関係を橋渡しすること
- ブリッジSEが注意すべき3つの壁
- ➀距離の壁:時差や祝日の違いをあらかじめ確認してスケジュールを組むこと
- ➁言語の壁:仕様書や設計書は、言葉だけでなく画像やイラストをいれてわかりやすくすること
- ➂意識の壁:現地スタッフには上流工程からきちんと説明し、開発の全体的な流れを先に説明しておくこと
オフショア開発は、海外のスタッフを活用して開発していくので、距離や言葉、意識の壁などがあります。これはどんなに頑張っても生まれるものでしょう。ブリッジSEは、このような互いの違いを理解し、日本と海外のコミュニケーターという重要な役割を果たす義務があるのです。