システムやソフトウェアなどの開発業務を、海外の開発会社や子会社に委託するオフショア開発ですが、課題や失敗例も多いプロジェクトになります。
そこでこの記事では、オフショア開発でよくある失敗例や成功事例、オフショア開発成功への7つのポイントをまとめました。
「オフショア開発を絶対に成功させたい!」という会社さんはぜひ参考にしてください!
よくあるオフショアの失敗例
思ったよりもコストメリットがでない
「渡航費や滞在費、オフィスの賃料に追加費用も、、あれ?思ったよりコストメリットでない!」なんていうのはオフショア開発で頻発しているケースです。
さらに、近年中国やベトナムでは人件費や物価が高騰しているので、そもそも最初から大幅なコストメリットを出すということは難しくなってきています。
出来上がった製品が全く違うものだった
「進捗報告は確認していたつもりなのに、気づいたら全く違う製品になってた…」
言語の違いからうまくコミュニケーションが取れず、少しの間放っておいたらとんでもない仕上がりになっていた、なんてこともオフショア開発のよくある失敗例です。
品質が悪い
「仕様書ではきちんと伝えたはずなのに、どうしてこんなに品質が悪いの?」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
これは、文化や国民性の違いが影響している場合があります。例えば、日本で求められる品質と海外で求められる品質のレベルの違いや、細かい部分まできちんと作りこみたい日本人と、大まかな機能さえ合っていればそれでいい海外のエンジニアなどです。オフショア開発ではこれらの違いを理解し、開発チームをマネジメントしなければなりません。
なぜ失敗するのか
コストメリットだけを目的としている
コストメリットだけをオフショア開発の目的としてコストの安さに目が眩むと、肝心の品質が落ち、想定以上のコストがかかってしまうという本末転倒なパターンになってしまいます。そのため、オフショア開発の適正な価格と求めるスキルのバランスを見極めることが必要です。また、委託先の人件費高騰が顕著になってきたことで、コストメリットだけを目指したオフショア開発から、「海外に開発拠点を作る」「IT人材を確保する」などのニーズを含んだオフショア開発に変化してきています。
開発のブラックボックス化
開発のブラックボックス化とは、言語や文化の違いからコミュニケーションがうまく取れず、開発を現地に任せっきりにしてしまうことです。このような事態を防ぐためには、開発の進捗報告やコミュニケーションの取り方を日本企業側が工夫しなければなりません。オフショア開発の成功事例を見てみると、「不安な部分は直接コードを送ってもらって確認する」「開発責任者が現地に常駐する」などの工夫を実際にしているようです。
言語や文化の違いによる認識の違い
日本での開発とオフショア開発を同じと捉えてはいけません。オフショア開発では、互いの違いを理解して歩み寄る姿勢が大切です。
オフショア開発の成功事例の中には、「会社のビジョンや製品を作る目的を念入りにすり合わせた」「コミュニケーションロスによる認識の違いをなくすため、アイスブレイクをはさみながら親睦を深めた」などの工夫が見受けられます。
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オフショア開発成功への七ヶ条
1.積極的にコミュニケーションをとる
オフショア開発を成功させる上でなんといっても大事なのが、コミュニケーションです。コミュニケーションを積極的にとることで信頼関係が生まれ、仕事の進めやすさがぐんと変わります。互いに信頼しあい、一緒に仕事をするのが気持ち良いという状態を作っていくことがオフショア開発のプロジェクトを成功させるための一番の近道です。
2.開発進捗を明確化する
オフショア開発では、こまめな進捗報告がプロジェクトの成功に直結します。報連相は徹底するよう、事前にブリッジエンジニアなどにも確認しておくとよいでしょう。また、ただメールで報告するだけでなく、できれば現地に行って直接確認したり、こちらからのFBも徹底するなどして開発の進捗を明確にすることが重要です。
3.信頼できるブリッジエンジニアを雇う
ブリッジエンジニアとは、日本企業側と委託先現地のコミュニケーターとなるエンジニアのことです。このブリッジエンジニアが優秀なほど、ベトナム側でもマネジメントができるようになるので、信頼できる人材を見極め、採用することが大切です。
4.全員にとってwin-winな関係を目指す
オフショア開発では、そのプロジェクトに関わる全ての人にとってメリットがあるような関係性が理想です。「委託主だから、何を言っても、どんな業務をさせたって関係ない」といった考えだと、互いに良いビジネスパートナーにはなれません。相手にとって、自分にとって、そしてその間にいる人達にとって、良い状態になるにはどうするべきかを意識しましょう。
5.10割の品質を求め続ける
オフショア開発において、最初から希望どおりの品質で納品されるということはなかなか難しいです。そのため「品質に不備があったけど、国内で修正するほうが早いからクレーム処理はしなかった」というケースもよくあります。スピード化を図る上では妥当な処置ですが、これだといつまでたっても品質のレベルはあがりません。「ダメなものはダメ」といった当たり前のことを、根気強く行うことで、最初は6割の品質だった製品もいずれは7~8割になり、10割の求めるべき品質レベルに近づいていくのです。
6.文化や国民性の近い委託先を選択する
オフショア開発の委託先には、様々な選択肢がありますが、なるべく文化や国民性の近い国や企業を選択することがおすすめです。人気の委託先の中でも、日本にマッチするのはベトナム、フィリピン、ミャンマーと言われています。逆に、合わないのが中国、インドです。自分の主張を全面にだしたりするような国民性は日本人とは合いにくいようです。
7.先駆者の経験から学ぶ
オフショア開発は、すでに多くの会社さんが取り入れている開発手法です。そのため、成功例や失敗例も沢山のナレッジが蓄積されています。これらの体験談や、他社が取り入れているリスク管理などを知り、自社でも活かすことがオフショア開発の成功へとつながっていきます。周りにオフショア開発経験者がいなくても、オフショア開発のセミナーなどに参加することで知り合うことができるので、興味のある方はぜひ参加してみましょう!
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オフショア開発の成功事例
テモナ株式会社
(画像引用:テモナ株式会社)
テモナ株式会社では、主力サービスである「たまごリピート」「ヒキアゲ―ル」というネットショッピングのリピーターを増やしたり、新しいユーザーをつくるようなITサービスをオフショアで開発しました。開発期間わずか2カ月でローンチを実現させたというテモナ株式会社では、オフショア開発のパートナー企業を慎重に選定したことや、CTO自身が現地に常駐して、開発のサポートをしたり、開発チームとの信頼関係の構築に努めたことで良好な関係性を築くことができ、オフショア開発の成功へとつながりました。
Japan Taxi株式会社
(画像引用:Japan Taxi株式会社)
売上高日本一のタクシー会社であるJapan Taxi株式会社では、「キッズタクシーアプリ」をはじめとしたアプリ開発をオフショアでも行っています。
海外のエンジニアを採用する時には、テストコードが書けるかを特に重要視しており、それが技術力のある即戦力の人材採用につながっています。
また、日本のタクシー文化を知ってもらうため、「エンジニアを日本に招いてタクシー体験をしてもらう」などの取り組みから、オフショア企業と認識のすり合わせもかなり工夫をしています。
おわりに
オフショア開発成功事例や成功するポイントについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
- オフショア開発成功への七ヶ条
- ➀積極的なコミュニケーションをとる
- ➁開発進捗を明確化する
- ➂信頼できるブリッジエンジニアを雇う
- ➃全員にとってwin-winな関係を目指す
- ➄10割の品質を求め続ける
- ⑥文化や国民性の近い委託先を選択する
- ⑦先駆者の経験から学ぶ
海外の現地で開発プロジェクトを進めるオフショア開発では、リスクや失敗もつきものです。しかし、あらかじめよくある失敗例を知り、リスク管理をしておけばプロジェクトの成功率をぐんと上げることができます。
きちんと事前準備をして、オフショア開発のプロジェクトを大成功させましょう!